日本活性化(パート5): 移民・移住

日本の活性化を考えるシリーズの第5回目では、移民・移住が地方の生活にどのような影響を及ぼしているのかを考える。

外国人が長期滞在、あるいは永住することについて現代の日本で議論の的となっている。私たちの経験から考えると、日本人の多くは自分たちだけで暮らすことに快適さを感じている。だが、この思いは日本が人口減少によって労働力不足に陥っているという事実と正面から向き合うことを意味する。

日本を自分の棲み家とすることを好む外国人が増えていることは良いニュースである。移民手続きの緩和の効果もあり、在留外国人は現在約280万人に達している。これは全人口のおよそ2.2%に相当し、歴史的な高水準である。自然災害のリスクや市民として対等に受け入れられるかどうかまで、日本での生活には様々な課題が存在しているにもかかわらずである。

それでも多くの人々が日本にチャンスを見出しているということは、数字が物語っている。大半の人が都市部に引き寄せられる一方で、地方に向かう人もいる。そのような人々が活性化を目指す地域に新たな息吹を吹き込んでいるのだろうか。

何十年も人口減少に苦しんできた地方では、食料生産から製品製造まであらゆることに人手が必要だ。結局のところ、ロボットにできることは限られているのだ。

本シリーズでは日本の地方衰退の理由を取り上げてきたが、ここで掘り下げたいのは、地方における外国人労働者の影響である。

政策の転換

単純作業や肉体労働を敬遠する若者が増加するなか、その補填を行いたいと考える政府は、低い技能の外国人労働者を日本に受け入れるメリットを長い間認識してきた。しかし日本は、カスタマーサービス、農業、輸送における技術革新によってもたらされる制度的変化を望むことをせず、むしろ単に限定的な移民受け入れを継続しているのである。

それでも、市場のニーズに基づいて外国人の受け入れを認める傾向は強まっている。現在、中国人とベトナム人だけで移民総数のほぼ半分を占めているが、これは日本の労働力に寄与している在日韓国人を含めない数字である。

日本でのより良い生活を求めながらも、技能が限られている人々を政府はどのように誘致しているのだろうか。政府が始めた注目すべきプログラムの中でも、日本が移民政策の改革に着手した2019年に始まったものに注目したい。

これは、農業や介護を含む14の分野における低い技能の労働力を補填するために、34万5000人の新規労働者を日本に呼び込むことを目的としている。最長5年間しか滞在できないものの、これは大規模なプログラムであり、やがてその効果が証明されるだろう。 2022年8月時点でこの制度で日本に入国した人は8万8000人であった。この数字は目標とされた予測をはるかに下回っている。 コロナウイルスによるロックダウンが一因である。

「高度専門職」はどうだろうか。政府は今年、海外から高度専門職(所得2,000万円以上)を呼び込むための新たな制度の創設を提案している。これについて考えてみよう。低い技能の労働者ビザの有効期限が一般的に5年であるのに対し、金融やITなど日本にとって重要とみなされる技能を持つ労働者は、わずか1年で永住権を取得することができる。

要するに、もしあなたの技能や所得が限られているのなら、日本は数年間しかあなたを必要としない。もしあなたに教養があって所得が高いなら、日本は両手を広げて歓迎する。カナダなど他の国も基本的には同じことをしているが、もしそれが日本の主たる計画だとしたら、未来は暗い。

カナダは外国人の移民を大勢歓迎しているが、日本はそうではない。日本の人口は、2050年までに現在の1億2500万人から1億500万人程度へ、つまり年間約40万人減少すると予想されている。 霞ヶ関では警鐘が鳴らされているに違いない。

Visa stats for foreign residents of Japan.

本への適応

海外から日本に来ることを選択した人たちに対し、日本の入国管理局(https://www.isa.go.jp/en/)は、2012年以来35,000人以上の高度な技能を持つ外国人を日本に受け入れてきたことを正式に発表している。書類上では良い数字に聞こえるが、日本の本当のニーズに比べれば、わずかな数字であることに変わりはない。三菱総合研究所は、2030年までに専門技術職で約170万人が不足すると予測している。これは現実の問題だ。

少人数の外国人を長期的に受け入れるという机上の解決策は、本当に実行可能なのだろうか?私たちはそうは思わないし、状況に実質的な変化が起こるとも思えない。

日本は女性やロボット、AIだけに頼っていては持続性を保つことは難しく、隠れてうごめく不法労働市場にできることは限られている。移民や移住者を日本繁栄のための誠実な市民として受け入れるという明白な解決策は完全に理にかなっているが、果たして移民の同化問題はどうだろうか。

外国人労働者の中には、文化的統合と文化的細分化の両方の問題に直面する者がいることは周知の事実である。このことは、日本がその文化的独自性を維持しつつ、どのようにして労働需要を満たすことができるのかというもっともな問題を提起している。さらに言えば、文化的な荷物を携えて入国してくる人々を相手に、日本はその伝統や習慣の維持を望めるのだろうか。これは全ての国にとってのグローバルな問題である。両方を維持することは可能なのだろうか。

留まるべきか去るべきか

人口の98%が移住者ではない以上、日本に溶け込むのは必然的に難しい。それでも、外国人が日本に移住する理由はたくさんある。富裕な市民社会、犯罪の少なさ、マナーを重んじる礼儀正しい人々、美味しい食事(チップ不要で)などの明らかな魅力は、十分な誘惑となる。しかし、移住を難しくしている問題は他にもある。一つの代表的な問題は、相続税が高額なため日本で死亡した場合についてよく考える必要があるということだ。

米国では、1,200万米ドルまでの相続資産には無課税であるのに対し、日本では現在25万米ドル(為替レートによる)から課税される。これは日本国内の資産だけでなく、長期居住者の全世界の資産に適用される。この見過ごせない不愉快な現実は、裕福な外国人にとって日本を非常に魅力のない国にしている。世界的な所得報告要件を考えると、多くの人が不本意ながら日本を離れるのも無理はない。

どの国においても移民受け入れにはメリットとデメリットの両方がつきものだ。犯罪の問題を考えてみよう。移民や移住者は日本人よりも犯罪を犯す割合が高いと思われがちである。私たちはこの主張を裏付ける信頼できる統計を見つけることができなかった。犯罪率に実質的な変化はないようだが、特定のメディアはそう信じ込ませようとしている。誇張はさておき、犯罪統計の集計方法には疑問の余地がある。それについてはまた別の記事で論じよう。

多くの問題点が指摘されているうちの一つは、派遣労働者や研修生に対する虐待である。活動家グループの報告によると、人種差別的な中傷、殴打、パスポート没収などが後を絶たない。幸いなことに、欧米と比較すると、その数はごくわずかではある。

外国人受け入れへの道は長く険しい。これに対して政府は、労働者が救済を求めることができる相談センターを数十カ所設置した。時間外労働や適切な賃金、安全な職場環境といった問題に取り組む努力は、労働者の差別撤廃と労働権を保証するために必要である。

厚生労働省の「外国人雇用センター」のウェブサイト(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-foreigner/english/seekers_1/spec/spec_1c.html)は、私たちが見つけた情報源のなかでも特に優れている。労働者の保護・擁護を目的とする団体は他にもあるが、その多くは非政府組織である。

次のステップ

日本にいる外国人について、ひとつはっきりしていることは、彼らが日本の姿を民族同質性から多様性へと変化させ続けるということだ。否が応でも、この数が増えるにつれて、文化的規範は変化していくだろう。 日本は準備ができているのだろうか。私たちはそうは思わない。 しかし、移民に異文化適応訓練を提供することは、政府(国、地域、地方)だけの責任なのだろうか。皆が協力して支援の手を差し伸べることは悪いことではない。

適応を支援するプログラムをすでに実施している機関もある。 私たちが好感を持っているのは、全国市町村国際文化研修所(https://www.jiam.jp)だ。すでに27万人を支援しており、適応プログラムを容易に追加できる。もうひとつは、「地域外国人材受入れ・定着モデル事業」(https://wijc.mhlw.go.jp/en/businesses/)である。これは、地方で労働力を求める雇用主に対して、技能や語学力のある労働者をマッチングする立派な取り組みである。

これらのプログラムは日本が望ましい方向に向かう一歩である。しかし、世界中から来た人々をコアバリュ―や姿勢、信念を忠実に維持させながら効果的に統合していくためには、日本の組織にとって体系的な戦略が有益であることは明らかである。何よりも、日本の衰退しつつある不動産分野やその他のインフラに対する海外からの有意義な投資など、統合のための新しくダイナミックなアイデアは、地方に新しい息吹を吹き込み、人口減少を遅らせる賢い方法だろう。