日本活性化(パート6): ビジネスチャンス

Bitsummit 2022 in Kyoto, Japan

日本の活性化を考えるシリーズの第6回目では、日本の地方におけるビジネスチャンスについて考える。  

これまでの記事では、日本の地方衰退の理由に焦点を当ててきたが、地方について前向きに考えられる根拠はたくさんある。今回はビジネス領域の拡大について強調したい。どのような投資機会があるのか。そして、どの分野が最もビジネスの可能性を持っているのか。以下その展望を探っていく。

地方へ移住するいくつかの理由についてはおそらく想像がつくだろう。、広くて安い土地でのスローペースな生活、安い生活費、地域独自の文化への傾倒、自然の美しさ、そしてコミュニティの感覚は、間違いなく地方移住の理由の上位を占めるだろう。私たちも同感である。

地方暮らしには多くのメリットがあるが、過疎化や労働力不足、都市部並みのサービスの提供など、無視できない課題も山積みだ。本シリーズでは、こうした課題に切り込んできた。しかし、ビジネスの視点から考えると、地方は低い経営コスト、安価な労働力、企業間競争の少なさ、そして豊富な天然資源を持っている。ここでは、地方の魅力をさらに高める金銭的なインセンティブについて見ていく。

税制上の取り組み

地方には日本政府による税制上の優遇措置があり、これが企業の地方への誘因となっている。地方における成長を促進させるため、民間企業を対象として無数の減税措置が用意されている。

地方の成長戦略には官民一体の取り組みが重要であることは、以前にも述べたとおりである。政府・与党は、株式の売却益をスタートアップ企業への投資に充てることができる税制を創設した。この制度では、株式売買で得た利益を新興企業に再投資する場合、20億円まで非課税になる。これは、長期投資家とデイトレーダーの双方に訴求できる斬新であり既成概念にとらわれないアイデアである。

この取り組みに加え、さらに肉親の遺産を相続する人々にとって魅力的なことを提案したい。相続財産の一定割合を対象スタートアップ企業に提供してもらう代わりに、その分相続税の減額を行うというものである。 そうすることで、スタートアップ企業を支援すると同時に、日本に住む人々に日本に住み続ける動機を与えることができる。

希望的観測はさておき、税制上の優遇措置は、日本の成長を促進する上で極めて重要な要素である。最近の注目すべき税制改正は、税額控除により5G技術の導入を促進することである。この改正により、企業はインターネットインフラに投資する際、30%の特別償却率または15%の税額控除を受けることができるようになった。2020年税制改正で導入されたこの制度は、民間企業が必要な変革にさらに対応するための優れた方法と言えるだろう。

また、最近の政府の取り組みとして、特定のビジネス設備への投資に対する特別な税制措置がある。中小企業は、核となる取得価額に対して100%の加速償却を適用できる。(または指定された設備について、基本取得価額の10%に相当する特別税額控除を適用できる)また納税者の法人税額に対して最大20%の税額控除を適用できる。

また、日本には「オープンイノベーション促進税制」があり、スタートアップ企業の株式を購入する企業は株式取得価額の25%を課税所得から控除することが認められている(パートナーシップやそれに類する取り決めの場合)。

また、「ものづくり補助金」は、生産設備に新規に投資した場合、30%の特別償却または取得価額の3%税額控除(法人税額の20%を上限とする)を受けられるというものである。このような取り組みにより、地方での生産拡大への関心がさらに高まることが期待されている。

さらに、金融庁及び財務局により開設され、事前コンサルティングから事務所登記まで全て英語で支援を行う機関「拠点開設サポートオフィス」https://www.fsa.go.jp/internationalfinancialcenter/en/our-support/about-us/や、資産運用・金融企業の創業費用を最大2000万円まで支援する「金融スタートアッププログラム」https://www.fsa.go.jp/internationalfinancialcenter/en/our-support/start-up-support/ 

において支援を行っている。また、日本政策金融公庫は民間セクターと連携して資本配分を提供している。

イノベーションへの取り組み

「革新的企業」への投資を促進するため、ベンチャー企業の株式を取得した法人が特別な所得控除を受けることができる税制措置もある。新しいベンチャー企業に投資して、税金の控除を受けるということこそ、日本の地方に必要なことである。

「まち・ひと・しごと創生法」によると、法人税申告者が地方公共団体の認定を受けた寄付を行うと、法人税から控除されるだけでなく、事業税、住民税の税額控除を受けることができる。これを「ふるさと納税」という。 2020年税制改正で、控除率が2倍になり、法人納税者は寄付金額の90%まで控除を申請できるようになった。

データ収集・分析情報システムの開発費用に関連する「モノのインターネット(IoT)投資税制」についても、同様の優遇措置がある。  革新的データ活用計画」の一環として、5億円以上のソフトウェアや機械設備を取得した場合、加速償却(30%)または単純税額控除(3%または5%)のいずれかを受けることができる。

これらは多くの税制優遇措置の一部に過ぎない。政府は地方の衰退を止め、対象産業への減税を通じて投資を促進するために真剣に取り組んでいる。

ビジネスの成長

このような政府の取り組みは、全国的な成長を促進するために広く行われている。成長目標を達成するため、国内の特定の地域を指定している。「国家戦略特区」プログラムは、地方にさまざまな投資インセンティブを提供している。