企業幹部によるエグゼクティブ・ブランディングの鍵とは
競争が激化する今日のビジネス界では、リーダーとして効果的なコミュニケーションができるエグゼクティブの存在は、企業広報にとって重要な要素と言える。エグゼクティブのコミュニケーションが成功すれば、企業の評判が向上し、社員のモチベーションが高まり、優秀な人材を獲得することにもつながる。
歴史を遡ると、日本には積極的に発言する卓越したリーダーが何人かいた。パナソニック、ホンダ、ソニーの創業者たちは、それぞれ先見の明があるとの一定の評価があり、多くの人々に有益な影響を与え、彼らのリーダーシップを通じて産業界に多大な貢献をした。現代では、このような突出したリーダーを目にすることは少なくなったが、逆に革新的な企業にとってはエグゼクティブ・ブランディングを活用するチャンスとなりうるのだ。
エグゼクティブ・ブランディングでは、ビジネススキルや専門知識、リーダーシップのスタイルをアピールすることで、企業のリーダーをインフルエンサーとして位置づけることができる。ここでは、効果的なエグゼクティブ・ブランディングを成功させるための5つの重要な戦略をご紹介する。
1. パーソナルブランドの定義
エグゼクティブ・ブランディングを成功させるには、まず各エグゼクティブのパーソナル・ブランドを定義する必要がある。エグゼクティブが持っている強み、価値観、情熱は何か?他の人とは何が違うのか?どのようなユニークな専門知識と視点を示すことができるのか?エグゼクティブがどのような人物であり、会社や業界全体に何をもたらしてくれるのか、明快で一流のパーソナルブランドステートメントを作成することが大切である。
2. ソートリーダーシップの確立
エグゼクティブ・ブランディングの重要なポイントは、業界におけるソートリーダーシップを確立することである。マスメディアのインタビュー、記事の執筆、ソーシャルメディア向けの動画コンテンツの制作、カンファレンスでの講演、セミナーの開催など、さまざまな機会を通して知識や知見を披露する。 エグゼクティブをユニークな知見を持つ専門家として位置付けるために役立つ、適切かつ有益なコンテンツを作成する。信頼性とプレゼンスの向上のため、常にターゲットとなるオーディエンスと交流を持ち、業界のディスカッションに積極的に参加する。
3. ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアは、エグゼクティブ・ブランディングにおいて非常に強力なツールとなる。LinkedIn、Twitter、Facebook、Instagramなどのプラットフォームを戦略的に活用し、オンライン上での強固なプレゼンスを確立する。専門知識を披露するコンテンツを定期的に発信し、核となるオーディエンスを常に惹きつける。また、影響力のある他の専門家とも積極的に交流する。ソーシャルメディアを活用してソート・リーダーシップをアピールし、企業とエグゼクティブ自身の双方にメリットをもたらすような評判を構築するのだ。
4.メディアとの関係構築
エグゼクティブ・ブランディングには、主要なジャーナリストたちとの関係を築き、有意義なメディアリレーションを育むことが不可欠だ。エグゼクティブが発言力があり、斬新なアイデアを持ち、ユニークな視点を持つことができれば、記者はエグゼクティブの見識を取り上げて記事を書くようになる。メディアのインタビューは、新しい情報を効果的に世の中に伝える戦略的な方法として活用しよう。業界のイベントやカンファレンスで講演することも、メディアの関心を集めることができる。業界としてのニュース発信に貢献する機会を積極的に探し出し、自社のエグゼクティブを業界を代表するスポークスパーソンとして確立する。
5. 本物志向と一貫性の維持
エグゼクティブ・ブランディングを成功させるには、本物志向と一貫性が不可欠だ。すべてのプラットフォームにおいて、メッセージ、価値観、コミュニケーションスタイルに一貫性を持たせる。各エグゼクティブのパーソナルブランドと価値観に沿ったプロフェッショナルなイメージを維持する。本物志向は聞き手の心に響き、信頼を築き、リーダーが信頼性と親近感を併せ持つ強力なエグゼクティブ・ブランドを確立するのに役立つ。
エグゼクティブ・ブランディングを成功させるには、綿密な計画、明確で説得力のあるコミュニケーション、そして一貫した取り組みが必要だ。パーソナルブランドを定義し、ソートリーダーシップを確立し、ソーシャルメディアを活用し、メディアとの関係を築き、本物志向を維持することで、有力なエグゼクティブブランドを作り上げることができる。
エグゼクティブ・ブランディングとは決してエグゼクティブの自己PRのことではない。専門知識を披露し、業界に関わる話題に付加価値を与え、リーダーとしての強いアイデンティティを築いていく。そうすることによりエグゼクティブは企業のコミュニケーションを支えるスポークスパーソンとしての役割を効果的に果たすことができるのだ。
日本で影響力のあるリーダーは、その存在感を示すために、時として他のリーダーよりも一歩踏み出す必要がある。これにはコストがかかる。シンポジウムの開催、主要メディアへの記事体広告掲載、書籍の執筆、日本の主要テレビ番組への出演などがその例だ。
パルテノンジャパンは、規模にかかわらず、エグゼクティブによるブランド確立をサポートし、成果を上げてきた豊富な実績がある。
著者について
パルテノンジャパン株式会社 代表取締役社長 パーカー・アレン
日本におけるグローバル企業の政府広報&PRを専門とするコンサルタントとしての豊富な経験を持つ。企業、政府、社会のコミュニケーションギャップを解消することを目的に、2018年にパルテノンジャパンを設立。