日本の消費者に響くPRメッセージを作る:成功のための8つのステップ
パブリックリレーションズ(PR)の本質は、効果的なコミュニケーションにある。日本の消費者と深くつながるためには、心に響くメッセージを作成し、伝えることが重要である。
この記事では、日本独特の文化から着想を得て、日本人の心を打つメッセージの作り方を探る。
PRにおいて「心に響く」ことの重要性
PRにおいて、「響く」とは、メッセージがターゲットとする人々に届くだけでなく、彼らと深く結びつくことを意味する。それは、心に残るようなインパクトを与え、信頼を育み、行動を喚起することだ。製品であれ、企業活動であれ、アイデアであれ、そのメッセージを記憶に残る、意味のあるものにすることが重要である。だからこそ、日本の消費者向けのメッセージは、ターゲットを第一に意識して作成する必要があるのである。
日本から学ぶ:響くものを作りあげる
日本は独自の文化、世界最古のブランド、そしてコミュニケーションに対する独特のアプローチがあることで知られている。日本向けのメッセージ作りに入る前に、心に響くメッセージを作るために必要な背景となる知識についていくつかご紹介しよう。
調和と集団主義
日本では調和と集団主義が重んじられる。メッセージを作成する際は、グループの調和や 共有している目標と一致しているかどうかを考慮する。和を乱したり、利己的な考えを伝えたりするようなメッセージは避ける。そのため、他の企業やブランドを非難したり、比較したりする広告は日本では好まれない。
アドバイス:地域や社会全体にどのような利益をもたらすかを示すメッセージを組み立てよう。強調と団結を強調しよう。
敬意と謙虚さ
敬意と謙虚さは日本文化の根底にある。コミュニケーションをとる際には、敬語や適切な言葉遣いを心がけ、相手に敬意を持って接すること。
アドバイス:謙虚さと感謝の気持ちを表す丁寧な言葉や表現を使う。相手の時間や意見を尊重する。
視覚的なストーリーテリング
日本の文化は、視覚的なストーリーテリングが重要である。そのため画像、シンボル、芸術を用いることで、メッセージの効果を高めることができる。
アドバイス:メッセージを引き立てるような視覚的イメージを取り入れる。相手の価値観や感情に響くイメージを使う。
わかりやすさとシンプルさ
日本のコミュニケーションでは、わかりやすくシンプルであることが非常に重視される。複雑な言葉やあいまいな表現は避ける。戦略的PRにおいてこのことは世界共通だが、日本ではなおさら重要だ。
アドバイス:メッセージは簡潔かつシンプルに。目的と意図を明確に伝える。
関係性の構築
深く長期的な関係を築くことは、日本のコミュニケーションの礎である。発信するメッセージは、このような繋がりを育むという姿勢を表したものであるべきだ。これは、日本市場に新規参入する企業やブランドにとって大変難しい。たとえ客観的に自社の製品やサービスが優れていたとしても、信頼を得るために充分な努力がなされていると日本の消費者が感じないならば、自社の製品やサービスを選ぶことはないだろう。
アドバイス:相手の支持や関心に感謝の意を表する。そして、彼らの意見や感想にきちんと興味関心を示す。マクドナルドやコカ・コーラのようなブランドは、日本で50年以上事業を展開しており、消費者との関係を築いているため、継続的な成功を収めているのである。
PRで響くメッセージを作る: 成功のための8つのステップ
日本のコミュニケーションアプローチからヒントを得たところで、PRの実際において響くメッセージを作るプロセスを整理してみよう。
1.対象者を知る
メッセージを届けたい対象者を理解することは最も重要である。彼らの価値観、趣向、悩みの種を知るために徹底的なリサーチを行う。
2. 目的を明確にする
何を達成したいのか?対象者にどのような行動や反応を求めているのか?など、メッセージの目的を明確にする。
3. 適切なトーンを選ぶ
メッセージのトーンは、対象者の期待やコンテンツの性質に合わせるべきである。文脈によって、フォーマル、フレンドリー、情報的、または感情的なものにトーンを調整する。
4. 説得力のあるストーリーを作る
ストーリーは響くメッセージを作るための有効なツールである。対象者を魅了し、メッセージを効果的に説明するストーリーを作ろう。
5. 視覚的要素を使う
メッセージを引き立てるための視覚的要素を取り入れる。画像、動画、インフォグラフィックなど、視覚的要素はコミュニケーションの力を増幅させる。視覚的要素を取り入れることはいくら強調しても足りないくらいだ。必ず日本オリジナルの視覚的ストーリーテリングを前面に押し出し、それが中心である必要がある。このために、世界各地のストック画像やアジア近隣諸国の画像を使用することは好ましくない。そのため私たちは、クライアントが日本独自の視覚的要素を作成することを強く奨励している。
6. わかりやすさとシンプルさ
核心を伝えるためにメッセージを単純にする。専門用語や不必要な複雑さを避けることで、対象者はあなたのメッセージを一目で理解できるはず。他の市場で一般的に使用されている専門用語の理解が限られている日本では、特にこれは重要なポイントである。
7. 関わりを持ち、関係性を構築する
対象者と交流する。コメントやフィードバックに応える。彼らのニーズや関心事に心から関心を示すこと。関係構築には時間がかかるが、努力する価値はある。日本でビジネスを成功させているグローバルブランドは、関係構築が重要であることを証明している。
8. 継続的な評価と適応
メッセージの効果をモニターする。フィードバックやデータを収集し、効果を評価する。何が最も効果的であるかに基づいて、コミュニケーション戦略を適応させ、改良することをいとわないこと。うまくいくことが直感に反することもある。しかし、成功は成功なのだから、うまくいくことをやり、自分にとって理にかなっているからといって、うまくいかないことを無理に実行しようとしないことだ。
結論
日本におけるPRの世界では、心に響くメッセージを構成し、伝える能力が不可欠である。日本の文化的価値観である「調和」、「敬意」、「ビジュアル・ストーリーテリング」、「わかりやすさ」、「関係性の構築」からインスピレーションを得ることで、対象者と深くつながるメッセージを作ることができる。
「心に響く」とは、何を話すかだけでなく、どのように話すか、そしてどのような印象を残すかということでもあることを忘れないでもらいたい。この8つのステップを取り入れれば、有意義なつながりと永続的なインパクトによって、あなたのPR活動がより豊かなものになることを実感できるはずだ。
著者について
パルテノンジャパン株式会社 代表取締役社長 パーカー・アレン
日本におけるグローバル企業の政府広報&PRを専門とするコンサルタントとしての豊富な経験を持つ。企業、政府、社会のコミュニケーションギャップを解消することを目的に、2018年にパルテノンジャパンを設立。