自分の物語を、自分の言葉で:ナンシー・スノー博士と「書くこと」を語る座談会

『Battleship Diplomat』の出版記念レセプションが盛況のうちに幕を閉じた後、パルテノンジャパンは著者のナンシー・スノー博士を囲み、「書くこと」をテーマにした少人数の座談会を開催した。

出版を祝う華やかなパーティーとは対照的に、この座談会は顔を突き合わせてじっくり語り合うための場として企画したものだ。あえて人数を絞ったことで、会場には特別な熱気が生まれた。その原動力となったのは、参加者のバックグラウンドの多様さである。職種も活躍する分野もまったく異なるプロフェッショナルたちが集い、それぞれ独自の視点を持ち寄った。

 

一冊の本が生まれるまで

座談会は、スノー博士自身の歩みから始まった。きっかけは2005年、父親が1946年のUSSミズーリ地中海親善航海に乗組員として参加していたと知ったことだった。その個人的な発見が、長年のリサーチを経て、一冊の外交史の書籍へと結実した。

どんな本にも始まりがある。多くの場合、それは一つの問いを追いかけてみようと決めた、その瞬間なのだ。

書き始めること、書けなくなったとき

簡単な自己紹介の後、話題は「書くこと」の実践面へと移った。どう書き始めるのか。言葉が出てこないとき、どう乗り越えるのか。参加者はそれぞれの仕事の中で直面するスランプや、それを抜け出すための工夫を率直に語り合った。

分野が異なれば、答えも異なる。ビジネスの文章に効く方法が、クリエイティブな仕事にもそのまま当てはまるとは限らない。その幅広さに触れられたことこそが、この座談会の大きな価値だった。

分野と文化を越える「表現」

対話は繰り返し「表現」というテーマに立ち返った。考えをどう言葉にするのか。文化の壁を越えてどう伝えるのか。自らの物語をどう形にするのか。各人が異なる角度からこのテーマに向き合い、対話は予定調和を越えた、思索に富むものとなった。

出版記念のトークで、スノー博士は「ミズーリが最も大きな意味を持つメッセージを発したのは、ただその場に姿を現したときだった」と語った。書くことも同じである。まずは白紙のページの前に座ること。座談会は、博士がトークを締めくくった言葉と同じ呼びかけで幕を閉じた。自分の歴史を記録し、自分の物語を語ろう、と。

全員で過ごした時間はあまりにも短く感じられたが、忘れがたい一週間を締めくくるにふさわしい、温かく知的な刺激に満ちたひとときとなった。

率直な洞察を共有してくださったスノー博士ならびに参加者の皆様に深く感謝するとともに、パルテノンジャパンでは今後も、異なる業界の視点が交差する対話の場を設けていきたい。

書籍について

『Battleship Diplomat: The Enduring Legacy of the USS Missouri』
(『戦艦外交官――USSミズーリが遺した不朽の遺産』)
著者:ナンシー・スノー博士
出版社:Naval Institute Press
Amazon Japanにて購入可能。