日本における戦略的メディア・リレーションズの5つのポイント
戦略的メディア・リレーションズは、どのような企業やブランドにとってもメディアにポジティブに取り上げてもらうための成功の鍵だ。日本のジャーナリストとのコミュニケーションを成功させるためにパルテノンジャパンが推奨する5つのポイントをここで紹介する。
1. メディアとの関係構築と強化
効果的なメディアリレーションズには、ターゲットとなるメディア関係者と強く良好な関係を築くことが必要不可欠である。時間をかけてメディア関係者の関心とニーズを理解し、適切かつ有益な情報を提供する。さらに連絡を常に絶やさず、独占的な取材機会を提供することで、築いた関係を強化する。
このような関係を築くには、日本の多様で複雑なメディア状況をよく理解する必要がある。デジタルメディアの人気が高まっている一方で、テレビと全国紙は日本国民の間で信頼できる情報源として根強く残っている。紙媒体の発行部数は減少傾向にあるが、全国紙は依然として世論に強い影響力があり、テレビもまた、諸外国と比べ、日本で大きな影響力を持ち続けている。日本の3大市場である東京、大阪、名古屋以外では、地方紙、地方テレビ局、通信社によるニュース供給が依然として強い影響力を持ち続けている。
ビジネス関連のニュースでは、日経メディアグループは日本で最も影響力のあるマスメディアネットワークである。日本経済新聞社は、テレビ東京、日本を代表するビジネス・経済専門の全国紙である日本経済新聞、週刊誌「日経ビジネス」、日経産業新聞などの業界紙、そして300万人以上の有料購読者を抱える日経電子版傘下の大規模なインターネット・メディア・ネットワークで構成されている。
さらに、記者クラブ制度も影響力を持ち続けている。日本には約40の主要な記者クラブがあり、記者会見に出席できる報道機関を厳選しているのだ。
その一方で、日本のグローバル化が進むにつれ、ビジネスや政策の意思決定者の間では、海外の報道機関や外国特派員の影響力が拡大し続けている。日本外国特派員協会は、ワシントンD.C.に次ぐ世界第2位の規模の外国特派員協会である。
2. 積極的に取り組む
メディアからの問い合わせや取材機会を待つのではなく、積極的にジャーナリストや報道機関に働きかけることも重要だ。定期的に記事の企画を投げかけたり、業界のトレンドについて専門家のコメントを提供したり、ジャーナリストが他では見つけられないようなユニークな切り口を示したりする。このような積極的なアプローチによって、企業やブランドのメッセージをメディア経由で発信することができるのである。
日本では、最も成功するメディアリレーションズのアプローチは、企業やブランドの取材に関心を持つジャーナリストと定期的に交流することである。単に記事内容を提供するだけではなく、カジュアルな会話をしたりランチやディナーで懇談することによって、ジャーナリストとより気軽に接触する機会を増やすことができるのである。
スポークスパーソンがそのような時間を確保できない場合は、社内の広報担当者や外部のコンサルタントに、このような大切な関係の構築や維持という任務を与えることが重要である。
3. 提供する記事内容をカスタマイズする
メディア関係者やジャーナリストにアプローチする際は、そのメディアの関心分野や担当分野に合わせて、カスタマイズした記事内容を提供することを忘れてはならない。メディアの最近の記事をリサーチし、その読者層を理解した上でメッセージと記事のアイデアの整合性を図ることで、記事提供のピッチが通り、タイムリーな報道になる可能性が高まるのだ。
日本で記事内容をピッチする際に欠かせないのは、事実とデータだ。 日本語の記事は短く、1時間のインタビューを受けても、たった一行の引用にしかつながらないかもしれない。ジャーナリストの注目を集め、彼らだけでなく編集者にもその記事が掲載に値するものであると納得させるために、期待値を設定し、報道価値のある情報を提供できるようスポークスパースンに準備をさせることが重要である。
4. 透明性と信頼性を保つ
メディアと接する際は、透明性があり信頼性のあるアプローチを心がける。正確で信頼できる情報を提供し、決して誤解を与えたり誇張したりしない。メディア関係者は信頼できる情報源を頼りにしているため、メディア関係者との信頼関係を築くことが極めて重要である。そうすれば、企業やブランドのニュースや記事を取り上げてくれる可能性が高くなるだろう。
これは常識的なことかもしれないが、特定の、しかも堅苦しいトーキングポイントの場合、スポークスパーソンは流暢に話すことは難しい。ジャーナリストの尊敬と信頼を勝ち取る方法のひとつは、スポークスパーソンの個人的な経歴やキャリアの歩みを積極的に共有することだ。記事の主題にはならないかもしれないが、ジャーナリストは興味深かったり刺激を受けたりする人物の話を取り上げたいと思う可能性が高いからだ。
5. スポークスパーソンの準備とトレー ニング
企業やブランドのスポークスパーソンは、メディアのインタビューのために十分な準備をしトレーニングを受けていることが大切だ。スポークスパーソンは、主要なメッセージと目的について熟知し、簡潔でありながら信頼できる表現で、効果的に伝えることができなければいけない。メディアトレーニングを実施し、厳しい質問に対応し、メッセージを正確に伝え、企業やブランドのポジティブなイメージを維持するスキルを高めるべきである。
グローバル組織のエグゼクティブが見落としがちなことのひとつに、非言語コミュニケーションの重要性がある。また、インタビューはジャーナリストに挨拶した時点で始まり、別れるまで終わらないという事実も忘れがちである。エグゼクティブは、誤って引用されることを恐れてジャーナリストから自分を守る傾向があるが、これは得策とは言えない。スポークパーソンがジャーナリストと友好的かつ親密な態度で接することができなければ、そのジャーナリストは、スポークパーソンとその企業やブランドを良く見せるような記事を書く可能性は低くなるのだ。
同時に、フレンドリーになりすぎてその場しのぎで話し始め、トーキングポイントに沿わないことを言ったり、会社が対外的に伝えたくない情報を漏らしたりする可能性もある。日本では、「オフレコ」というものは存在せず、記者とのやりとりの中で伝えられることはすべて公式なものになることを忘れてはならない。加えて、大手メディアは通常、スポークパーソンの発言を掲載前に企業やブランドがチェックすることを認めていないため、スポークパーソンをトレーニングする際にはこの点を考慮しなければならない。
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